真夜中のベルが鳴った。
発信者は小渕健太郎。
いつものトーンとは少し違う彼の声を聞いて「もしかして」との予感は的中した。
「少しの間、休養することを二人で選びました」
予感というと不吉な響きではあるが、僕は彼らのステージを観るたびに
あれだけの渾身の歌を歌い続けることは、喉と身体に相当の負担がかかっているだろう、といつも心配していたので、
「休養」との言葉を聞いたとき、正直ホッとしたのだった。
「数日後のニュースでお知りになれば、きっと心配なさるだろうと思いお電話させていただきました」
小渕健太郎とは、いつでも人の気持ちを第一に気遣う、優しい男である。
「時には休むことも必要さ。いつか必ずこの休養が大きな意味を持つはずだ。
誰もがその決断を温かく受け入れてくれるはずだよ」
月並みながら、そう言葉を返した。
「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか」
との問いに
「そこに山があるから」
と答えたのは有名な登山家ジョージ・マロリー氏。
誰もが頂を目指す。
そこに理由などいらないのだ。
そしてその山は、それぞれの山であればいい。
自分という山を制覇するために、人生はある。
ファンの皆さん(僕もその一人だ)にとって、彼らの歌声が数ヶ月であろうとも聞けないのはたまらなく淋しいことだ。
しかし彼らは必ず帰ってくる。
その時を楽しみに、彼らの勇気ある決断に拍手を送ろうではないか。
僕は今、コブクロの二人が僕の30周年を祝って歌ってくれた「YOU」を聴いている。
逢わなくなってもう2ヶ月だね
まるで悪夢のような日々さ 今も
そばにいる時は感じなかった優しさが 懐かしくて
君と交した何気ない会話と比べれば
過ぎてく時さえ意味もなく虚しい
約束の映画 行けなかったね
チケットはまだ胸の中 今も
一緒に歩いたあの街並みに置き去りのままの心
君と肩寄せて眺めたオレンジ色の月
二人を見守ってくれてる様に見えた
たとえばこのまま逢えなくなったとしたら
きっと君の様な 君を探す
You It's always you. It's only you
You It's always you. It's only you
電話で喧嘩もできないんだね
真夜中のベルが鳴らない 今は
気持ちのコントロールもできないまま 窓の外を見つめてる
君に送るこの手紙は何の意味も持たず
時間に溶けてゆくだけかも 知れない
たとえばこのまま逢えなくなったとしたら
きっと君の様な 君を探す
You It's always you. It's only you
You It's always you. It's only you...
小渕君と黒田君の歌声が胸に沁みる。
もうすぐ始まる僕のツアーで、久しぶりにこの曲を歌ってみたい、と思う。
「なぜ、あなたは今日を生きるのか」
と問われたら
「そこに夢があるから」
と答えよう。
夢を追うことに理由などいらないのだ。
コブクロのツアーの完走を心から祝福します。
KOBUちゃん!KUROちゃん!
そして素晴らしいバンド、スタッフの皆さん、本当にお疲れさま!
ゆっくり休んで下さいね!
From your 「YOU」