「布袋さんの撮る美樹さんはいつもナチュラルで素敵ですね!
他では見れない美樹さんばかりです!」
との周囲のお世辞言葉を真に受け、
「そう?そうかなぁ!じゃぁ、今度のツアーパンフ、僕が撮ろうかなっ!」
なんて頼まれてもいないのに言い出したのはいいけれど、さて撮るぞ!
と気合いを入れてファインダーをのぞくと
彼女の表情は硬い。
「だっていつものあなたと違うんだもの」
そう。写真は気合いで撮るものではない。
僕も撮られる側としてたくさんのカメラマンの方と向き合ったが、
「いいですねー!クールです!カッコイイー!」と褒めちぎられるとイライラするし
といって無言で黙々とシャッターを切られても、沈黙に絶えられなくなる。
「レンズをグーッと睨んでください」と言われて目力入れればまた強面になるし、
背の高い僕を下から煽って「もっとアゴを引いてください」と引けばアゴもなくなるわけで...。
撮られていて気持ちの良いカメラマンとは
「まるで家族のように目の前にいることが当たり前に思える人」だ。
目の前にいるのが当たり前の僕が眉間に皺を寄せて執拗に粘り越しでシャッターを切れば、
「あなた、いつもと違うわよ」
と言われて当然だ。
いつもは「こっち向いて」とも言わず、気の向くまま一度だけシャッターを押すだけなのだから。
真っ赤なルージュの大きな口をガーッと開いて、顔をくしゃくしゃにして笑う。
一世風靡したその笑顔の持ち主は、当時を振り返ってこう言う。
「いつもの今井美樹スマイルをお願いします!」と言われてカメラの前に立つのが本当に苦しかった、と。
笑っているのが当たり前の人間なんていない。
人とはいつも悲しみや苦しみと共にいる生き物だ。
笑えと言われて笑えるものか!
「もうちょっと笑ってよ」
目の前にそびえる187cmの存在感旺盛(?)なカメラマンからそう言われて苦笑いするしかない彼女。
地べたに這いつくばってもデカい。
こればっかりはしょうがない。
小さくなれないものね。小心者だけど。
『暗黒の季節』とも形容したくなる冬のロンドンにも心暖まる日射しがある。
そんな光を季節をモノクロームで撮った。
春風をカラーで捕まえた。
雨の日のレインコートや地元のパブでのランチ。
家族で旅行したローマの休日や初めてのサッカー観戦。
春の色彩溢れる街並の散歩や、庭でルーリーと和みながら僕のギターをつま弾く姿。
ようやくいつもの僕に戻れた時「誰も見たことのない今井美樹」を撮れたような気がする。
5月1日。
今日は美樹さんのお父さんの13回忌。
朝陽に照らされて、母と義父の写真が笑っている。
二人に美味しいコーヒーを淹れてあげよう。
ロンドンでの笑顔の娘と孫娘を、見せてあげたかったな。
今井美樹コンサートツアー2014「Dialogue」の日程は以下の通り。
ロンドンのミュージシャンと共に里帰りです。
ユーミンのカバーと今井美樹の代表曲と、最強の笑顔をお届けします。
5/9(金) オリンパスホール八王子 [東京] 開場18:00 開演18:30
5/12(月) 仙台電力ホール [宮城] 開場18:00 開演18:30
5/14(水) オーチャードホール [東京] 開場18:00 開演18:30
5/15(木) オーチャードホール [東京] 開場18:00 開演18:30
5/17(土) 愛知県芸術劇場・大ホール [愛知] 開場17:00 開演17:30
5/21(水) 宮崎市民文化ホール [宮崎] 開場18:30 開演19:00
5/24(土) フェスティバルホール [大阪] 開場16:30 開演17:30
5/25(日) フェスティバルホール [大阪] 開場16:00 開演17:00
是非皆さんでお出かけくださいね!
グッズ売り場でお待ちしています!
あ、通販先行販売もよろしくお願いします! (カメラマンより)