BEAT主義日記 the principle of beat hotei official blog

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2010年1月 1日

* 寅ちゃんと寅さん


あけましておめでとう!


新しい年の始まりを、心穏やかに過ごしていらっしゃいますか?

どうぞ皆さん、今年もよろしくお願い致します。


さて、今年は寅年。

そう、自分は年男であります。

年男も久しぶりだ。
それはそうか、12年振りか。
ということは次の年男は60歳か!!?
人生、年男、年女が巡ってくるのも、よほど強運でも9回。
7度か8度も迎えられたら、ありがたいものなのですね。

干支にちなんで元旦からあらゆるところで『寅』ずくし。
『布袋寅泰』の『寅』は、『寅年生まれ』ゆえに付けられた名前。
『トモヤス』と呼ぶのも当て字でしょう。
昔から『ぬのぶくろとらやす』『ふたいとらたい』『ふぶくろ』(独りコブクロかいっ!)
ひどい時は何故か『ぬのぶくろとらぞう』などと読まれたこともある。
小さな頃は父母から『寅ちゃん』と呼ばれました。
『トモちゃん』ですよ。
『トラちゃん』ではない。

そんな『寅ちゃん』と『寅さん』の話をひとつ。

BOφWYがまだブレークするちょい前の時期、JUST A HEROツアーの頃かな?
代官山にある東急アパートという、当時もっともモダンとされていたアパートに住んでいた。
家賃の半分も給料をもらえていない頃でした。
そのアパートには多くの文化人の方々が住まわれていた。
浅野温子さんや今野雄二さん、細野さん、著名なカメラマンやデザイナー、スタイリストさんなどクリエイティブな人ばかりで、
まるで良き時代のパリのアパルトマンのようだった。
ハリウッド・ランチマーケットがとびきりお洒落で、ゴルチエのフラッグ・ショップが初めてオープンした頃。
その日はツアーで札幌に向かうため朝から荷造りをし、ゴロゴロとスーツケースを転がしエレベーター・ホールへ向かうと、
ヴィンテージのヴィトンのスーツケースを両脇に置いた紳士が立っていた。

渥美清さんだった。

品のいいコートを羽織られた寅さんがこちらを向き、にっこりと微笑んでくださった。
俺は深々と頭を下げた。
到着したエレベーターに二人で乗り、渥美さんが1階のボタンを押した。
ラバーソウル履いて頭を逆毛立て黒装束の2メートル近い宇宙人みたいな俺。
心臓がドキドキした。
寅さんだもの、誰だってドキドキしますよ!
ゆっくりエレベータが下がるなか、ポツリと寅さんが寅ちゃんにスクリーンの中のあの口調でこう言った。

「旅ですか」

突然の一言になにを思ったか、寅ちゃんは咄嗟に答えた。

「はい。北のほうへ」

その後何度か元旦に寅さんが『男はつらいよ」カレンダーを持って訪ねてきてくれた。

「つまらないものですが、台所の隅にでも貼ってやってください」


渥美さんが亡くなられて、もう何年になるのだろう。
今も人々の心に温もりを与え続ける偉大な人。
年男となり、ふと彼を思い出すと、自分は足元にも及ばないな、とつくづく思う。

今年は初心に立ち戻ろうと思う。

この先、努力もしないで夢が叶うはずがない。

一からやり直すつもりで、ギターと向き合いたいと思う。



「旅ですか」



「はい。南のほうへ」

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