ロンドン最終日は初日と同じくハイドパークへ。
空は「飛行機雲の一筆書きアート」で壮大なキャンバスと化した。
日曜日で多くの人で賑わう公園。
人なつこいリスの登場に子供達がはしゃぐ。
しかしながら感心するのは、みなさん公園の楽しみ方がとても上手だということ。
互いに干渉せずも礼儀は忘れず、自由気ままに夏の最後の風を浴びながら、
読書をしたり、ローラースケートをしたり、乗馬をしたり、フリスビーをしたり、
トップレスで甲羅干しをしたり、恋人とキスしたり、サンドイッチを頬張ったり、
仲間とダンスの練習をしたり、犬と戯れたり、スケッチをしたり、ボートを漕いだり...。
芝生にビキニの女性が一人仰向けに寝そべっていても、性的好奇心丸出しの目でジロジロ見る人などいない。
人に迷惑になるような音量で音楽をかけたり、はしゃぎ騒ぐ者もいない。
水辺でスケッチをしていた我々の隣に自転車に乗った女性が颯爽と現れたかと思うと、バタッと自転車を横倒しに置き、クロスワードパズルでも始めたのだろうか。
目の前には初々しいカップルがボートにのり、若きジェントルマンがオールを漕いでいる。
このカップルは年期が入っていそうだ。
すいすいと気持ち良さそうに進むその水面下では、互いの水かきが完全にシンクロしているのがわかる。
木陰で読書する青年の姿があまりにも優雅だったので思わずシャッターをきってしまった。
チャールズ・ディケンズ?はたまたカズオ・イシグロ?
オスカー・ワイルドかもしれない。
時が経つのも忘れ、芝生に寝転がりながらウトウトして、売店で買ったサンドイッチを頬張り、
ダイエットではない通常のコーラをグビッと飲み、風の音を聞き、空の色を見つめ、
今まで過ごした自分の人生のことを穏やかな気持ちで振り返る。
そんな時間がなによりも欲しかった。
心を満たすのは、夢やスリルや達成感だけではなく、
この公園でのひとときのような『空っぽなすべて』なのかもしれない。
ハロッズのグランド・フロアーのオイスター・バーはお気に入りの場所だ。
公園帰りの夕方、カウンターに座ってシャンパンと一緒にセレクトされた牡蠣をいただく。
ザブンと口の中に波が立ち、海が広がる。
これもまた至福の一瞬だ。
日曜だと言うのにハロッズの客は少なく、友人に理由を訪ねたら
「今日からアラブの人たちはラマダン(断食)が始まったからでしょう」とのこと。
なるほど彼らが外に出ないだけでこうも違うものかと驚いた。
日本に居ると世界が遠い。
成田に着く。
湿気が強い。
日本は選挙一色ですね。
とても大切な選挙です。
今回は自分も投票にでかけようと思う。
無責任な一票を投ずるわけにはいかず、新聞や雑誌等で各党の主張を理解しようとするのですが、
なんだか皆さん「誰々よりは私の方がいい」と、他の方の弱点欠点ばかりを問いただしてばかりのように聞こえてならないのは僕だけでしょうか。
しっかりと本質を踏まえた結果がでることを期待したいですね。
夏も残りわずか。
皆さんにとっても思い出深い2009年の夏となりますように。