と日曜の朝のカーテンを開きながら娘に声をかけたら
「父の日おめでとう。パパ」
瞳を閉じたまま、ベッドの中で彼女はそう言った。
「君の誕生日から、パパはパパになったんだよ」
小さな手をそっと握る。
窓の外は雨。
一緒に一日の計画を立てた。
まずは互いの部屋のかたづけ。
そして一緒に絵を描いた。
彼女の描いたルーリー。
俺の描いた彼女。(あまりにも似ていないので公開してしまおう)
横目で寝そべるルーリー。
ランチで撮ってもらった、父のポートレート。
俺の父...。
1988年4月4日。
BOφWYの解散コンサート。
あの日、俺の父は東京ドームの外で会場から漏れ聞こえる音に耳を澄ませていたと後に知った。
息子に拒絶された父は、どんな気持ちでそこにいたのだろう。
誇らしく思ってくれたのだろうか?
それとも自責の念に苦しみ、血のような涙を流していたのだろうか?
時は流れ、父の子もまた、今は父。
いつの日か、異国の地に父の墓を探し、花を供えたいと思う。
願わくば雨の日に。
降り注ぐ雨で涙を洗いながら一言捧げたい。
「ありがとう」
と一言だけ。