BEAT主義日記 the principle of beat hotei official blog

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2009年3月 6日

* すべてのサヨナラにありがとう。


BOφWY解散後、IRC2コーポレーションという新事務所を立ち上げた20年前の創立メンバーであった女性スタッフが先月末退社した。
お礼の気持ちをと、DINNERにお誘いした。
20数年という長い付き合いながらも、こうしてゆっくり食事をしながら、仕事や身の回りの出来事の話をする機会はごく少なかった。
自分が自分らしく音楽を創り、奏でる事ができるのも、「HOTEIにのびのびと創作活動をさせてあげたい」と、献身的に支えてくれるスタッフの皆さんの御尽力のおかげです。
日頃の感謝を伝えるのは言葉ではなく、やはり音しかない。
良い作品、良いコンサートを作り続ける事で、お返しするしかない。
人生は一度きり。
沢山の出会いやチャンスがある、とは言うけど、本当に心の通った信頼関係を結ぶことのできる人との出会いは、そう多い人数とは言えないだろう。
両手両足で数えて余る数に違いない。
仕事という同じ目的があったにせよ、20数年という月日を共にした人が居なくなるのは淋しい。
責任の伴わない仕事などあるはずがなく、ジレンマやストレス、挫折やプレッシャー等、積もり積もった様々な感情があっただろうと思う。
しかしながら、二人だけの送別会は、まるで船出を祝うかのような、穏やかで優しい感謝に満ちた時間となった。
「ひょっとしたら、これからのほうが、今まで以上に色々なお話ができるのかもしれませんね!」
彼女の笑顔に濁りはなく、20数年前に出会ったときのままの美しい人。

同じ日、俺のドライバー兼アシスタントも退社し、家族の待つ街へ帰郷した。
雨の日も風の日も、俺が俺らしくいられるために、俺の手足となって働いてくれた。
ベントレーをピカピカに磨き、24時間を俺の為に捧げてくれた。
彼が去る、と決まった時、俺はベントレーを手放す決意をした。
運転席は彼のものだからだ。
シボレーのバンも手放し、ガレージに空きができた。
これで少し、環境に対する貢献もできるかもしれない。
次にここに停まる車は、ファミリーカーがふさわしいように思う。

すべてのサヨナラにありがとう。

共に過ごした月日は永遠だ。


食事の後、これまた20年振りにパリから一時帰国している辻仁成氏と会った。
先日、とあるイタリアンレストランで奥様の中山美穂さんとバッタリお会いし、知人を通じて御連絡頂いた。
俺がまだ原宿の小さなアパートに暮らしていた頃、そうピンクのベスパを足にしていたあの頃、俺はBOφWY、彼はエコーズ、お互い瞳をギラツカセて何度か語り合ったものだ。
多方面に渡り活躍中の彼、久しぶりにバンド活動に燃えている、とのこと。
やっぱりロックしかない、と熱く語る彼。
全ての人に公平に時間は巡り、いくつもの挑戦や挫折、冒険や苦悩の末、自分にたどり着くのが人生。

グラスに溶ける氷が、ラム酒を甘くしてくれる。



窓の外は雨。

一雨過ぎるたびに、春がまた近づいてくる。