ロンドンでは毎朝時差で4時起きです。
こればかりは抵抗しても仕方ない、と諦めて昨日はライカをもって朝のウォーキング。
まだ誰もいないコベントガーデンへ。
光のある方へと誘われて小径を行き、普段は滅多に行かないテムズ川沿いの公園へ。
カメラを持つと、風景に誘われて、勝手に足が動くもの。
途中、遠い記憶に繋がる風景に出会う。
記憶をたどると、そこは20数年前、初めてBOφWYでロンドンを訪れた際、ハービー山口さんと一緒にメンバー一同バンに乗り、ロケハンしながらアー写を撮影していた際、ハービーの一声で降り立った地下鉄駅前の歩道橋だった。
20代初めの自分は、この場所で何を思ったのだろう。
20余年通いながら一度も聞いたことのなかったビッグベンの時を告げる鐘の音を聞く。
テムズからの風に吹かれ空を舞う鳥達の翼に乗って、心が瞬間ワープしました。
観覧車下ではこんなシュールな光景も。
中に人が入っていて、通りすがりの人々に小さく手を降り驚かせます。
そして懐かしのメトロポリス・スタジオへ。
マスタリング・エンジニアのイアン・クーパーとも気づけば長い付き合いです。
全カタログ、リマスターの機会を得て、ソロになってからのすべてのアルバムをマスタリングしてもらったイアン。
言わば俺のすべてを知っているエンジニアです。
マスタリングという作業はとても重要。
レコーディングでこだわり抜いたひとつひとつの音を、いかにバランスよく、そしていかに活き活きと、マスターとして仕上げるか。最近ではEマスタリングといって、データだけを送って作業を委ねる方法もありますが、やはり立ち会って、細かいオーダーをしないと、作り手の主旨はなかなか伝わりません。
彼はまさに音のドクター。
この曲はピチカートを上げたい、とか、パーカッションをクリスピーに聞かせたいとか、歌は少し控えめにとかオーダーすると、まるで音が見えているかのように、瞬時に指先が反応し、EQポイントを探し当てます。
今回はサウンドクリエイター達の趣向が如実に現れ、今まで以上にバラエティに富んだ内容なだけに、彼のテクニックが問われますが、さすがイアン!見事な職人芸に脱帽です。
「ジェットコースターに乗っているようなアルバムだ」とイアン。
「GREAT!それが今回のコンセプトだよ!」と答えると
「ジェットコースターに乗るのは好きじゃない」と苦い顔をしてみせる。
英国流の褒め言葉だ。
英国と群馬のジョークは、挑発的なところがよく似ていると思う(笑)。
じっくり時間をかけて磨き上げたトラックたちは、どの曲もイメージ以上の仕上がり。
長かったレコーディングが、ギタリズムのスタートしたこのロンドンで、フィニッシュしました。
NHKサウンドストリートで「GV」の数曲を聴いてくれた方々から、嬉しい反応がロンドンまで届きました!
ジャケット写真もインパクト強いでしょう?
グラマラスでアバンギャルドなフューチャー・ロック。
リリースまであと一ヶ月です。