バンコク。
そう。
辰吉丈一郎の再起を賭けての一戦を応援する為に。
一連の復帰を危惧する動きで、一時は開催がほぼ不可能かと気を揉んだが、タイの会長の一声で逆転!
5年ぶりに辰吉がリングに上がる。
この日をずっと待っていた。
彼の体力や、ブランクへの懸念、そして規定を外れたこの再起戦に対しては応援の声ばかりではない。
往生際が悪い、と言うのは簡単だ。
でも「最後まで戦いたい」という男の夢を奪う権利は誰にもない。
言ってみれば最近は往生際の良い人ばかりだ。
ブーイングを浴びたら「自分の責任をとって辞する」といい、いとも簡単に姿を消してしまう大人ばかり。
本当に責任をとるという事は、最後まで責任を全うすることではないのだろうか。
世界不況を目の前に、職を奪われる人がどんどん出てくるだろう。
自分の意思ではなく、自分の人生が奪われるその悔しさ。
やめるのも自由だとしたら、やめないのも自由であるべきだ。
やめない自由を身体を張って叫んでいるこの男に、俺はついてゆきたい。
夢は追いかけることを諦めた瞬間に消えてしまうもの。
理由もなく、人が殺められ、理由もなく、職が奪われ、理由もなく諦めなければならない事ばかりの、暗雲立ちこめたこの時代だからこそ、
辰吉の戦う理由を見つめてほしいと思う。
一番恐いのは辰吉だろう。
だけど、一番ワクワクしているのも辰吉だろう。
自分から「ステージ」が奪われたら、俺はそれでもギターを弾くだろうか?
ボクサーはリングに上がる為に生きている。
誰にも「ステージ」や「リング」があるはずだ。
自分が一番輝ける場所。
自分が本気で自分自身と戦うべき場所。
それを放棄するのは、自分を放棄することと一緒だと思う。
明日の結果は誰も知らない。
だからこそ明日が待ち遠しい。
どうぞ、皆さん!「辰吉コール」をリングに向けて送ってください!!!
彼にはきっと聞こえると思う。